痛みと向き合う
陰ヨガのプラクティスをする時に大切なこと。
それは、ポーズのターゲットエリアに自ら「痛み」を作ること。
そして3分~5分ポーズをキープしている間、
そこに生じている「痛み」を繊細に観察していくこと。
恐らく陰ヨガの経験者であれば、分かっていることだと思います。
でも、この「痛み」との向き合い方が、陰ヨガを練習する上でとても大切で、意外に難しかったりもするんです。
陰ヨガはポーズのキープ時間が3分~5分と長めです。
なのでポーズのポジションを最初に決める時に、時間の目途を立てることが重要になってきます。
「私は柔軟性がある」「ここまで前屈(後屈)できる」「手、届くよ」
そんな自負(エゴ)は、この機会にポイっと捨ててしまいましょう。
エゴを捨てる練習が陰ヨガと思ってくれてもいいです。
陰ヨガのインストラクターはきっとポーズに入る時に皆さんに伝えているはずです。
「自分の中の80%くらいのところでポーズをキープしてください」と。
理由は、生理学的・解剖学的にも色々あります。
簡単に言えば、急いで最初から深く入るとケガをしやすくなること。
そして3分~5分の間、その苦しい状態で頑張り続けることになってしまう。
早い段階で、深く入りすぎたことに気づいて認められる人は、
案外すぐに緩めることを、自分に対して許可できたりします。
でも、最初から深く入る人の多くは、そのまま痛みや苦しみを我慢する傾向にあります。
時間が過ぎ去るのを、耐え忍んでいるのです。
色んなヨガがある中で、陰ヨガはそういう「がんばる」タイプのヨガではありません。
「痛かったら、いつでも体勢を変えたり、ポーズを解いてください」
そうお伝えもしています。
それでもなお、頑張り続ける人がいる。
変化させられない人がいる。
そういう人はマットから離れた日常でも、緩め方が分からずに、いつでも頑張り続けてはいないでしょうか。
日常でも頑張り続け、
マットの上でも頑張り続け、
寝ている間も歯を食いしばり、
緩める瞬間はいつありますか?
まずはマットの上で、頑張っている自分に気づいて下さい。
「本当は辛いよ…」と言っている心に気づいてあげてください。
そして、緩める許可を自分に出してあげてください。
その場で緩め方が分からなければ、遠慮なくインストラクターを呼んでください。
恥ずかしがり屋さんは、そっと手を挙げて合図を送ってください。
陰ヨガをしている時は必要以上に頑張らないこと。
日常の中でも、自分のエネルギーを大切に使うことをマットの上で練習していきましょう。
そしてもう一つ、痛みについて大切なこと。
それは、「頑張る」と「頑張らない」の塩梅をコントロールすることです。
陰ヨガクラスでは、おそらく一人に対して少なくともブロックが1つずつ、インストラクターから渡されることが多いと思います。
プロップス(道具)ありきのヨガという印象もあるかもしれません。
確かにプロップスを使うことは多いですが、
実は陰ヨガTTを受けた時、Jo Pheeは「陰ヨガはプロップス(道具)は最終的にはなくなる」と言ったことを覚えています。
これはどういうことでしょうか。
例えば、プロップスありきのヨガの代表がリストラティブヨガだとすると、
リストラティブヨガにはターゲットエリアはありません。ストレッチもそれほどありません。
深く深くリラックスしていくことが目的だからです。
でも陰ヨガは違います。
繊細な痛みを敢えて作っていき、靭帯や腱をストレッチさせていきます。
メンタル的には、リストラティブと同様にリラックス効果がありますが、肉体に働きかけていくプロセスに違いがあります。
最初は緊張していた部分も静かに呼吸や氣を送り続けることで、どんどん深めていくことができますが、プロップスがあるとそれ以上は深まっていきません。
先ほど、陰ヨガでは「必要以上に頑張らない」と触れました。
それと同時に、陰ヨガは「必要以上にラクをしない」ことも大切なのです。
そこが案外、難しい。。。
このポーズ、辛いからブロック使おう・・・
最初から決めないで下さい。
痛みの質を繊細に観察すること。
本当にそのブロックは必要ですか
そのボルスターは必要ですか
プロップスを使う前にできることはないですか
それを探っていきます
クラスの中で、陰ヨガのインストラクターは
一つのポーズに対して1~3のバリエーションを最初に紹介すると思います。
それでもなぜか、皆さん同じポーズになることが往々にしてあります。
その角度、その深さ、本当に自分にピッタリのものですか?
どうか最初の1分ほどは、自由に動いて下さい。
手の置き方、足の幅、膝の角度、背中の丸め方…、痛みを繊細に観察しながら、ベストなポジションを自ら探します。
練習を続けるうちに、それほど我慢せずともキープできる痛みの幅が分かってきます。
インストラクターがブロックを持っていって、
「これ、あったらどうですか?」と提案しに行くことがあります。
必要なければ、遠慮せず「いらない」と言ってください。
それくらいでインストラクターの心が傷つくことはありません(笑)。
逆にツライ時は、我慢せず「ほしい」と言って下さいね。
普段、特にハタヨガ系のクラスでは、インストラクターから「こういう動きをしてください」と指示を受けることが多いと思います。
指示を受けることは、とてもラクです。
その通りにすればいいのですから。
でも陰ヨガは違います。
自分で見つけていくんです。
インストラクターはそのお手伝いをするに過ぎません。
人に頼り過ぎることから離れ、
自分のエゴに気づき、それを手放し、
辛さを感じる自分を認め、緩める許可を出す。
人と違う形になることを恐れないで下さい。
インストラクターは皆さんの身体の中までは入っていくことはできません。
それぞれが持っている痛みの幅を感じることはできないんです。
自分の身体のことは自分で感じてあげる。
ターゲットエリアに刺激が入っているのなら、名前のついていないような斬新な恰好になってもいいんです。
それがあなたにとって、機能的なポーズなのであれば。
そしてラクをしすぎないこと。
痛みが変化していくことを「待つ」。
「変化を待つ」ということも、陰ヨガの大切な練習の一つです。
インスタント思考になりがちな日常の中で、ついつい答えを急いでしまう私たちですが、
陰ヨガの練習を繰り返すことで「待つ」ことの尊さを実感することができます。
さて、陰ヨガでの痛みとの向き合い方、いかがでしたか?
皆さんが陰ヨガと仲良くなって、自分の身体を知り、心を知り、手放すべきものは手放し、満たすものは満たし、心身の深い安定を感じることができたら、嬉しく思います😊
私も微力ながら、今できる最大限でお手伝いさせて頂きます。
ぜひ一緒に陰ヨガをしましょう。
お待ちしています♪
ॐ